保険のこと

がん治療と遺伝子。『がんゲノム医療』が身近に?

“がん治療に遺伝子情報を活用する”

この様な研究が進んでいることをご存知の方も多いのではないでしょうか?

『でも、それってず~っと先の話し、未来の話しでしょ?』
『そんな治療が受けられるのって、すっごいお金持ちじゃないと無理なんじゃない?』

そのような声も聞こえてきそうですが・・・
実はかなり身近なところまで実用化されつつあります。

厚生労働省は2018年4月1日より『がんゲノム医療』を本格導入しました。

ゲノムとはDNA上に存在する全ての遺伝情報の事を指します。
がん患者のゲノムを調べ、その遺伝情報のどこに異常が存在するかを突き止めることで、
患者一人一人に合った治療方法を探ります。

また、全国11箇所の中核拠点病院と、100箇所の連携病院を指定、整備することで、
全国、どこに住む方でもがんゲノム医療を受けられる体制づくりを目指しています。

ではこの『がんゲノム医療』とはいったいどの様な医療なのでしょう?

がん予防への活用

“遺伝子とがん”と言えば、アンジョリーナ・ジョリーさんを思い浮かべる方もいらっしゃると思います。
アメリカを代表する女優である彼女が
『がんを予防するために乳房を切除した』と告白したのです。
遺伝子の解析により、乳がんが発症するリスクが87%あると診断を受けて決断したとのことでした。

この衝撃的なニュースによって、
“ ゲノム解析 = がん予防 ”
とのイメージを持たれる方も少なく無いのではないでしょうか?

でも実は、殆どのがんは遺伝しません。
年齢を重ねるごとに、遺伝子には傷が付きます。
この遺伝子の傷ががんの原因です。
つまり多くのがんは、食生活や環境など、後天的な原因によって発症しています。

ところが中には親から子に“がんを発症しやすい遺伝子”が受け継がれるケースがあります。
これを『家族性腫瘍』もしくは『遺伝性腫瘍』と言い、5~10%が該当すると言われています。

ですから、どのような遺伝子の異変を持っているのかを予め知ることで、
予防に役立てることも大切なのではないでしょうか?

がん治療への活用

その一方で、がんを発症した患者さんの治療に『ゲノム医療』を役立てよう、
というのが今回の厚生労働省の動きです。

現在、がんには様々な治療方法が存在します。
臓器やがんのタイプによって、治療方法を使い分け、
その治療方法に効果があれば継続し、効果がなければ別の治療に移行します。

そこにはある意味、“やってみないとわからない”と言った要素があり、
時にがん患者さんとその関係者、医療現場などに大きな歪を残す原因ともなりえます。

しかし例えば治療開始前に効果がありそうな治療が予め解ればどうでしょう?

例えば肺がんの場合。

ROS1に遺伝子異常が見つかればROS1阻害剤、
ALKに遺伝子異常が見つかればALK阻害剤、
EGFRに遺伝子異常が見つかればEGFR阻害剤、
遺伝子に異常が見つからなければ従来の抗がん剤治療などを選択する。

と、このようにそれぞれのタイプごとに細分化した治療が可能になります。

費用負担は?

国立がん研究センター中央病院が、
がんゲノム医療『遺伝子パネル検査』を活用した“先進医療”を実施します。
対象は治療方法が無い患者さんや、切除不能な患者さんなどで、
新聞報道等によりますと自己負担は46万円ほど。

先進医療ですから、この遺伝子パネル検査にかかる費用は全額自己負担ですが、
その他治療には健康保険が適用されますので、比較的費用を抑えることが出来ます。
(健康保険で認められている治療方法の場合)

また仮に先進医療特約が付加された保険に加入していた場合、
保険会社からの給付金によって、およそ46万円の技術料を軽減することも出来ます。

将来的に『がんゲノム医療』を実施する医療機関が増え、
健康保険証が使える“保険診療”に認定されたら・・・
多くの方の命を救う、切り札のひとつになるのではないでしょうか?

期待したいところです。

吉田 太志

コラム執筆者プロフィール

本社 吉田 太志