保険のこと

為替(円とドル)その2

前回のコラムでは円高とか円安と言った表現が為替をわかりにくくさせているので、円高をドル安、円安をドル高と言い換えると理解しやすいと書かせて頂きました。

今回は為替が変動する仕組み、原因についてお話しいたします。

私たちは普段、日々の生活の中で『円の価値』について考える機会は少ないと思います。
値上げや値下げがない限り、昨日100円で買えたものは今日も100円で買えますし、昨日100円で乗れた電車は今日も100円の運賃です。
ですから100円玉1枚あたりの価値変動を意識する事はあまりないのではないでしょうか?

これはドルで生活するアメリカ人も同じです。
1ドル紙幣1枚あたりの価値変動を意識する機会は少ないはずです。

自分が生活する国で普通に使用する通貨の価値は、極端なインフレやデフレでもない限り、あまり大きく変化することはありません。

しかし円とドル、2つの通貨は『相対的に』価値を変化させ続けています。
なぜこのような変化、変動が生じるのかを解説いたします。

少し乱暴な例えかもしれませんが、ここに人気の演歌歌手が居たとします。

この演歌歌手はこれまで100枚のサイン色紙を発行しました。
人気演歌歌手のサインがわずか100枚ですから、大変な価値があります。

しかしある時この演歌歌手がもう100枚、サイン色紙を発行しました。
するとどうでしょう?
あいかわらず人気の演歌歌手ですから、そのサインに価値があることに変わりはありませんが、そのサインの希少性が少し薄れ、1枚あたりの価値が下がります。
ですからサインの発行枚数が増えると、サイン1枚あたりの価値が下がります。

しかし200枚発行されたサインのうち、70枚をコレクターが買い占めたため市場には130枚しか流通しなくなったらどうでしょう?
流通量は130枚に減少しますから、200枚全部流通するより価値は高くなります。
ですからサインの流通量が減れば、サイン一枚あたりの価値が上がります。
つまりサインの発行量や流通利用が減少すれば希少性が高まり、1枚あたりの価値が上がります。
逆にサインの発行量や流通量が増加すると1枚あたりの価値が薄れます。

またこの演歌歌手の人気にもサインの価値は左右されます。
人気が上昇すればサインの価値は上がり、人気が下降すればサインの価値は下がります。

この法則は円やドルなどの通貨も基本的には同じ考えが成り立ちます。

日本銀行やFRBなどの中央銀行が通貨を大量に発行すれば、その国の通貨は安くなる傾向になり、銀行などの金利が上昇すれば、市場に出回る通貨が預貯金に廻るため流通量が減り、通貨価格が上昇傾向になります。

吉田

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本社 吉田